この記事で分かること
- 約18,000人の会社で、定型業務の自動化をどう広げたのか
- IT部門と業務部門で、何を分けて受け持ったのか
- 自社で始めるとき、最初に何を募り、何を決めるか
改善の結果
341,567時間削減
定型業務にかかっていた時間
出典の本文は「2020年3月現在」の削減効果とし、ページ上部の要約では「年間」としています。1件あたりの作業時間の前後は公表されていないため、前後の比較は載せていません。
125業務・513プロセス(2020年3月現在)
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
日本通運は、なぜ定型業務の自動化に乗り出したのか
日本通運は、陸・海・空の輸送を手がける業界最大手の物流会社です。2004年をピークに日本の人口が減るなかで、社員の年齢構成も崩れ、中長期では働き手が足りなくなると見込んでいました。
一方で、物流には「届ける」ことに加えて付加価値のあるサービスが求められています。そこで、約18,000人いる事務系社員の定型業務を自動化し、企画や営業に充てる時間を生み出そうと考えました。
正確さが求められる細かな定型業務は、担当者の気持ちの負担にもなっていたとされています。
02How ─ 変えたこと
試して向き不向きを知り、募り、知ってもらい、分担した
2017年12月に国内のRPAツール6社を比べ、2018年3月に UiPath を採用しました。複数のブラウザと、社内で動く約200のシステムに対応できることが決め手の1つです。
2018年5月からは7業務で試行(PoC)しました。複雑な業務もあえて試し、RPAに何が向き、何が向かないかを知って、開発のルールを作っています。並行して社内から自動化したい案件を募り、1次募集で75件、半年後の2次募集で234件が集まりました。
2019年5月には、事務を担う約18,000人を対象に社内のeラーニングを行い、経営層を含めて参加率は89%でした。社内に知ってもらうことを、開発と同じくらい大事にしたためです。
広げる段階では、業務部門から推進担当者を募りました。要件は両部門で一緒に決め、開発はIT部門、業務への当てはめは業務部門が受け持ちます。推進担当者は全国に159名いて、3段階の教育を順に進めています。ロボットは集中管理し、空いたものに仕事を振り分けています。
マクセラスの解釈
自動化をIT部門だけの仕事にせず、業務を知る人を各地に置いて、要件と当てはめを担ってもらったことが、件数を積み上げられた理由だと当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 016社を比べる
- 027業務で試す
- 03案件を社内で募る
- 04eラーニング
4工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 016社を比べる
- 027業務で試す
- 03案件を社内で募る
- 04eラーニング
AFTER
- 01両部門で要件を決める
- 02IT部門が開発
- 03業務部門が当てはめ
- 04集中管理で動かす
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 正確さが求められる事務の定型業務
人に残したこと
- 企画と営業
- 生み出した時間を、創造的な企画業務や営業活動に充てることを目指しています。
- 要件と当てはめ
- 業務部門の推進担当者が、IT部門と要件を決め、業務への当てはめを担います。
03After ─ 結果
2020年3月時点で125業務・513プロセス
2020年3月現在、125の業務を自動化し、513のプロセスを動かしています。削減の効果は341,567時間に及びました。担当者の気持ちの負担も大きく軽くなったとされています。
次は、協力会社の作業日報など手書きの帳票を AI-OCR で読み取り、RPAで入力する形に広げる計画です。
- 推進担当者
- 全国159名
数字の出どころ
UiPath が公開した日本通運株式会社の導入事例による数値です(2020年3月現在)。削減時間は、本文では「2020年3月現在…341,567時間」、ページ上部の要約では「年間341,567時間」と書かれています。同事例の「2021年度末までに100万時間削減」は中期計画上の目標であり実績ではありません。
数字についての問い
- 341,567時間は、年間ですか、累計ですか?
- 出典の中で書き方が分かれています。本文は2020年3月時点の削減効果として示し、要約は「年間」としています。自社の見積もりに使うときは、毎年この時間が浮くとは読まないでください。
04自社への応用
自社の定型業務にも、同じ形はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、自動化を専門の部署だけに任せず、業務を知る人を各地に置いて、要件と当てはめを受け持ってもらったことです。拠点や部署が複数ある会社には、同じ形があります。
- 複数拠点を持つ会社
- 同じ集計を各拠点が別々の手順でやっている
- 支店を持つ会社
- 本部への報告書式が拠点ごとに違う
- 多店舗
- 日次の売上報告を店舗ごとに手作業で送っている
- 部署が分かれた会社
- 同じデータを部署ごとに転記し直している
まず何を調べるか
まず社内から「自動化したい作業」を1か月募り、1回の時間と月の回数を添えてもらってください。拠点の数より、同じ作業の繰り返し回数で並べます。1拠点でも毎日起きる作業なら積み上がります。集まった候補は、要件を誰が決め、誰が当てはめるかを先に決めてから着手します。
あなたの会社なら、何時間か
同じ作業が複数の拠点で発生しているなら、拠点数を人数に入れてください。
マクセラスの解釈
業務を知る人を、各地に置くほうが積み上がる。
自動化を1つの部署に集めると、依頼の行列ができてその人数が上限になります。私たちは最初の規模より、業務の側で要件を決められる人が1人から2人になる速さを見ます。
05まとめ
まとめと参考資料
- 働き手が減る見込みのなか、約18,000人の事務系社員の定型業務を自動化して時間を生もうとした
- 7業務での試行、社内での案件募集、eラーニングを経て、IT部門と業務部門で開発と当てはめを分けた
- 自社では、自動化したい作業を社内で募り、回数で並べるところから始める
参考資料
- 日本通運株式会社 導入事例UiPath・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

