この記事で分かること
- 伊予銀行が、削減時間を2種類に分けて数えていた理由
- 窓口出身の行員が、どうやって自動化を内製したのか
- 自社で自動化を考える前に、まず何を確かめるか
改善の結果
年22,000時間削減
RPAで減った本部の作業時間
出典が公表しているのは削減量だけで、1件あたりの作業時間の前後は示されていません。そのため前後の比較は載せていません。
別に、業務の見直しで年6,000時間
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
本部の仕事は、なぜ減らしにくかったのか
伊予銀行は愛媛県松山市に本店を置く地方銀行です。営業エリアの人口減少や来店の減少、長引く低金利、他業種からの参入と、経営環境は厳しくなっていました。同行は行員を単純な作業から外し、営業や企画のような人にしかできない仕事へ移すことを掲げています。
壁になっていたのが本部の業務です。業務改革を担う総合企画部の担当課長は、本部の仕事は特殊で人に張り付きやすく、見直しの前にまず業務を見える形にする必要があると話しています。
02How ─ 変えたこと
自動化を、業務の見直しの一部として進めた
2017年5月に本格的な検討を始め、四国の地方銀行4行の提携の中で合同の検証も行いました。同年12月に UiPath の導入を決めています。選んだ理由として、小さく始められること、少量で種類の多い本部の業務に合うこと、無料で学べる教材があり開発を自前でしやすいことを挙げています。
開発の中心になったのは、総合企画部の2人です。どちらも数年前まで窓口の担当で、プログラミングの経験はありませんでした。教材を使って数か月でロボットの手順を作れるようになり、2019年からは各部門で開発者を育てる研修を進めています。
対象の業務は各部門から希望を募り、向いているものを選んで自動化しました。営業店の販売実績や ATM の利用件数の集計、顧客との交渉の記録から特定の言葉を含むものを抜き出す報告書づくりなどです。
推進の考え方は、RPA はあくまで業務改革の一環だというものです。まず不要な業務をやめられないかを考え、やめられない業務は見直し、見直した業務を自動化する。この順で考えるよう、担当課長は行内に呼びかけています。
業務の流れの前後
- 01本部の業務
- 02人に張り付く
- 03中身が見えない
- 04手作業で回す
4工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01本部の業務
- 02人に張り付く
- 03中身が見えない
- 04手作業で回す
AFTER
- 01部門から希望を募る
- 02やめる・見直す
- 03残りを自動化
- 04部門で開発者を育成
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 営業店の販売実績や ATM 利用件数の集計
- 交渉の記録から特定の言葉を含むものを抜き出し、報告書にする
人に残したこと
- 業務の見直し
- 自動化の前に、やめる業務・見直す業務を決めます。
- 顧客のニーズを探す
- 生まれた時間で、顧客の隠れたニーズを探すことにつなげています。
03After ─ 結果
自動化で年22,000時間、見直しで年6,000時間
本格導入から約1年半の2019年7月時点で、RPA で減った時間は年22,000時間です。これとは別に、自動化を進める過程で業務そのものをやめたり簡単にしたりして、年6,000時間を減らしています。
RPA で新しくできるようになった仕事もあります。マネー・ローンダリングが疑われる ATM の振込を抜き出して報告書にする監視は、年2,719時間の作業がかかるため人手では難しかったものです。
数字の出どころ
UiPath が公開した株式会社伊予銀行の導入事例による、同行の報告値です。時点は2019年7月です。2,719時間は、人手では実施が難しかった監視業務にかかる作業時間で、削減した時間ではありません。
04自社への応用
自社の自動化の候補は、本当に要る仕事か
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、自動化で減った時間とは別に、業務をやめて減った時間を2つめの数字として数えたことです。自動化の候補に挙がる仕事は、たいてい「面倒な仕事」で、必要かどうかは別の話です。
- 経理
- 毎月つくっている集計資料。誰が見ているか分からない
- 営業事務
- 週次の報告書。会議で読み上げるだけになっている
- 管理部門
- 承認が3段階ある。差し戻された記憶がない
- 現場
- 紙とシステムの両方に同じことを記録している
まず何を調べるか
全部を書き出す必要はありません。まず自動化したい業務を、時間を使っている上位20%ほど挙げ、それぞれ「1か月止めたら誰が困るか」を確かめてください。困る人が言えない業務は、自動化より先にやめる候補です。残った業務のうち、件数が多く判断が入らないものから自動化します。
マクセラスの解釈
自動化の前に、やめられないかを一度考える。
いらない仕事を自動化すると、速く回るうえに止めにくくなります。私たちもまず「その資料を誰が見ているか」を聞き、答えが出ない業務は廃止の候補にします。
05まとめ
まとめと参考資料
- 本部の業務は特殊で人に張り付き、見直しの前に中身を見える形にする必要があった
- 窓口出身の行員が開発を担い、RPA を業務改革の一環として「やめる・見直す・自動化」の順で進めた
- 自社では、自動化の候補を「1か月止めたら誰が困るか」で確かめるところから始める
参考資料
- 株式会社伊予銀行 導入事例UiPath・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

