この記事で分かること
- 経験のある人が、何に繰り返し手を止められていたのか
- 管理職を増やす代わりに、どんな仕組みを作ったのか
- 自社の社内質問で、まず何を書き出せばいいか
改善の結果
週10.6時間削減
開発と運用で減った時間(推計)
出典はこの数値を推計値(estimated)として示しています。年550時間超という記載は、この週次の推計を年に換算したものです。実測値ではありません。
うち質問に答える AI の分は週75分超
出典:Zapier「How Wellness Coach scales with automation and AI」↗
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
経験のある人は、なぜ手を止められていたのか
Wellness Coach は、企業向けに瞑想や運動、リーダー研修などの健康プログラムを提供する米国の会社です(従業員201〜500名)。チームが大きくなるにつれ、社内の仕事が回らなくなっていきました。
経験の浅いエンジニアからは技術的な質問が次々に届き、そのたびに経験のある人が同じような会話に呼び出されます。共同創業者は、これは続けられないと話しています。加えて、やるべき作業がチャットのやり取りの中に埋もれ、顧客との打ち合わせで決まったことも、休憩を挟むうちに忘れられていました。
02How ─ 変えたこと
質問への答えと、作業の拾い出しを仕組みにした
共同創業者は、管理職をもう1人雇う代わりに、質問に答える AI の仕組みを作りました。エンジニアは専用の Slack のチャンネルに質問を書きます。すると Zapier が ChatGPT に、自社のやり方を前提にした答えを作らせ、同じチャンネルに返します。答えは全員が読めるので、ほかのエンジニアの学びにもなります。
作業の取りこぼしには、別の小さな仕組みを足しました。Slack の発言に決まった絵文字を付けると、その内容が Trello のカードになり、期日も入ります。顧客との打ち合わせのあとは、Gmail や Slack に届く要約からやるべきことを抜き出し、期日の通知つきで Trello に送ります。
こうした仕組みは経営陣だけのものではありません。顧客対応の担当者は、打ち合わせの要約と予定表の面談から Trello のカードを自動で作る2つの仕組みを自分で使い、30日で158件の作業を自動で処理しています。
マクセラスの解釈
質問に答える仕組みも、作業を拾う仕組みも、人が読み直して書き写していた手間を外したものです。答えを共有のチャンネルに残したことで、同じ質問が個人の会話で何度も繰り返されない形になったと当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 01質問が届く
- 02経験者が中断
- 03会話に埋もれる
- 04作業が漏れる
4工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01質問が届く
- 02経験者が中断
- 03会話に埋もれる
- 04作業が漏れる
AFTER
- 01専用チャンネル
- 02AIが答える
- 03全員が読める
- 04Trelloに登録
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 自社のやり方を前提に、質問への答えを作って返す
- 発言や打ち合わせの要約から作業を拾い、Trello に登録する
人に残したこと
- 質問する
- エンジニアは専用のチャンネルに質問を書き、答えをほかの人とも共有します。
- 印を付ける
- 作業にしたい発言に絵文字を付けます。
03After ─ 結果
週10.6時間の内訳は、複数の仕組みの合計
開発と運用をあわせて、週10.6時間が減ったと推計されています。年にすると550時間を超え、生産性に換算して年27,500ドル以上で、人を増やす必要を減らしたとしています。このうち質問に答える仕組みの分は週75分超で、残りは作業を拾う仕組みなどの分です。
顧客対応の担当者の例では、月9時間超が浮き、面談とフォローの100%が予定どおり進んでいます。
- 個別の例
- 30日で158件を自動処理/月9時間超を削減した担当も
数字の出どころ
Zapier が公開した Wellness Coach の事例による数値です(2025年5月)。週あたりの時間は出典が推計値(estimated)と明記しており、年に換算した値も含めて実測値ではありません。個別の例の件数は、ある担当者が30日間で自動処理したものです。
出典:Zapier「How Wellness Coach scales with automation and AI」↗
04自社への応用
自社の社内質問にも、同じ中断はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、詳しい人に集まる質問を、個人の会話から全員が読める場所へ移したことです。質問が特定の人に集まる構造は、規模を問わず起きます。
- 開発チーム
- 経験者が実装より質問への対応に時間を使っている
- 現場のベテラン
- 手順を聞かれるたびに作業を止めている
- 情シス兼任
- 本来の業務の合間に、相談が何度も入る
- 管理部門
- 制度についての質問が、特定の1人に集まる
まず何を調べるか
まず1週間、よく聞かれる人に、受けた質問をそのまま書き出してもらってください。同じ質問が3回以上あれば、答えを共有の場所に残す候補です。あわせて「聞かれて作業を中断した回数」も数えると、聞かれる側の負担が見えます。
あなたの会社なら、何時間か
聞かれる側の中断時間で計算してください。人数には聞かれる人を入れます。
マクセラスの解釈
中断は、その時間だけでは終わりません。
5分の質問でも、元の作業に戻るまでには余分にかかります。私たちも質問対応の相談では、合計時間より「1日に何回中断されるか」を聞きます。
05まとめ
まとめと参考資料
- 繰り返される技術の質問に経験者が呼び出され、作業はチャットの中に埋もれていた
- 質問に答える AI を共有のチャンネルに置き、作業を拾って Trello に登録する仕組みを足した
- 自社では、よく聞かれる人に1週間ぶんの質問を書き出してもらう
参考資料
- How Wellness Coach scales with automation and AIZapier・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

