この記事で分かること
- 問い合わせを引き継ぐとき、担当者の時間はどこに消えていたのか
- EY が AI に任せた「書く」「読む」と、人に残した確認
- 自社の引き継ぎで、まず何を測ればいいか
改善の結果
年 約10万時間削減
問い合わせの経緯を読んで把握する時間
出典はこの数値を推計値(estimated)かつ年換算として示しています。対象はサービスデスクにおける記録の要約とチャットの要約の2つに限られ、問い合わせ対応全体ではありません。
引き継ぎ1件で最大10分の短縮
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
引き継いだ担当者は、何に時間を使っていたか
EY は150か国以上で事業を展開する組織で、従業員は40万人。サービスデスクは30か所あり、年間100万件を超える問い合わせを21の言語で受けています。
難しい問題が IT の担当者へ引き継がれると、担当者は読みにくいメモをたどり、チャットのやりとりを見返し、ときには問い合わせた社員に同じ説明を繰り返してもらってから、ようやく解決に取りかかっていました。
02How ─ 変えたこと
記録を書く・経緯を読む作業を AI に任せた
同社は長く ServiceNow を使い、IT と人事の窓口をその上で回してきました。長い付き合いがあったから、生成 AI にも安心して踏み出せたと導入の責任者は話しています。
まず、サービスデスクの担当者を助ける AI を作りました。対応が終わると AI が解決の記録を下書きし、担当者が承認してから問い合わせを閉じます。記録の書き方がそろうので、IT は傾向や問題も見つけやすくなります。
引き継ぎの場面では、2つの要約を使います。1つは、何が起きて、これまでにどんな手を打ったかをまとめる対応記録の要約、もう1つは、チャットのやりとりをまとめる要約です。引き継いだ担当者は要約を読めば、すぐに解決に取りかかれます。
その後、社員向けのポータルにも AI を置き、パスワードの再設定のような簡単な質問は自分で解決できるようにしました。先にナレッジの記事を整理してそろえ、新しい記事も AI で作っています。
マクセラスの解釈
答えることや判断することは人に残し、その手前の「書く」「読む」だけを機械に渡した事例だと当社は読んでいます。記録の下書きも人が承認してから閉じる形にしています。
業務の流れの前後
- 01問い合わせが届く
- 02引き継がれる
- 03メモとチャットを読む
- 04社員に聞き直す
- 05解決する
5工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01問い合わせが届く
- 02引き継がれる
- 03メモとチャットを読む
- 04社員に聞き直す
- 05解決する
AFTER
- 01要約が用意される
- 02経緯をすぐ把握
- 03解決する
- 04記録の下書きを承認
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 対応記録の要約(何が起き、何を試したか)
- チャットのやりとりの要約
- 解決の記録の下書き
人に残したこと
- 解決する
- 要約で経緯をつかんだうえで、担当者が問題を解決します。
- 記録を承認する
- AI が下書きした解決の記録は、担当者が承認してから問い合わせを閉じます。
03After ─ 結果
要約で年約10万時間、引き継ぎ1件で最大10分
2つの要約を合わせて、サービスデスクで年に約10万時間、300万ドル以上の価値が生まれると推計されています。引き継ぎ1件あたりでは、最大10分を短縮できるとされています。
解決の記録の下書きは、導入後の1か月に推計10万3,000件作られ、その70%がそのまま受け入れられました。社員にとっては、電話や画面共有で何時間も付き合わされずに済むようになったと担当者は話しています。
- 問い合わせ件数
- 年間100万件超・21言語・30拠点
- 解決の記録の下書き
- 1件5分の短縮・年約6万6,000時間(推計)
数字の出どころ
ServiceNow が公開した EY の導入事例による数値で、いずれも推計値(estimated)です。同事例には30のサービスデスク全体で年16万時間という数値もありますが、要約による約10万時間と記録の下書きによる時間はその内訳にあたり、足し合わせることはできません。
04自社への応用
自社の引き継ぎにも、読み直す時間はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
問い合わせ対応の時間は、答える時間だけではありません。この事例の要は、引き継いだ人が経緯を読む時間を、要約で縮めたことです。
- サポート窓口
- 担当が代わるたびに、これまでの経緯を読み直している
- 営業
- 引き継いだ顧客の経緯を、過去のメールから追っている
- 現場のシフト制
- 交代のたびに申し送りを読む時間がある
- 士業
- 案件を引き継ぐと、記録を全部読むところから始まる
まず何を調べるか
1か月、担当が代わった件数と、引き継いだ人が経緯をつかむまでの時間を何件か測ってください。件数より引き継ぎの頻度が大事で、担当が代わるたびに読み直しているなら規模に関係なく同じ形です。要約は下読みであり、判断は人に残す前提で試してください。
マクセラスの解釈
狭く絞ったから、大きな数字になりました。
範囲が狭いほど精度が上がり、使われ続けます。対象を広げたがる相談ほど、まず「引き継ぎの読み直し」のような1工程だけで試すことを勧めます。
05まとめ
まとめと参考資料
- 引き継いだ担当者は、読みにくいメモとチャットをたどり、社員に聞き直してから解決していた
- 対応記録とチャットの要約、解決の記録の下書きを AI に任せ、判断と承認は人に残した
- 自社では、担当が代わった件数と経緯をつかむまでの時間を測るところから始める
参考資料
- EY Customer StoryServiceNow・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

