この記事で分かること
- 1部ずつ中身の違う印刷物は、なぜ数日かかったのか
- Genscom が紙の記事の読み取りから、何を積み上げたのか
- 自社で「同じ型で中身だけ違う仕事」をどう数えるか
改善の結果
週340時間削減
手作業でレイアウトを組んでいた時間
出典が公表しているのは削減量だけで、作業時間の前後は示されていません。またこれは Genscom 自社の社内業務における削減であり、顧客側の削減ではありません。
顧客側の制作は数日から10分に
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
読み手別の新聞づくりは、なぜ数日かかったのか
Genscom はベルギーの印刷会社で、読み手ごとに内容を変える印刷や出版の技術を手がけています。10年以上、地域のスポーツクラブや介護施設、学校が、デザインの専門知識なしに自分たちの新聞を作れるよう支えてきました。
大手の企業からも、見込み客ごとに内容を変えた印刷物を送りたいという声が出てきました。ところが、1部ずつ中身の違う複数ページの新聞を手でデザインするだけで数時間。読者層を100に分けて100通り作ると、複製とレイアウトの調整で数日かかっていました。
節目を祝うクラブからは、紙の保管資料に眠る昔の記事を載せたいという要望もありました。
02How ─ 変えたこと
紙の記事の読み取りから始め、組版を仕組みにした
Genscom は機械学習の専門企業 ML6 と組み、仕組みを Google Cloud の上に作り直しました。古い仕組みに AI を継ぎ足すのではなく、データを1か所に置き、顧客のデジタルの情報を印刷の設備に直接つなぐ形を選んでいます。
最初に作ったのは、紙の記事を読み取る仕組みです。何十年分の紙面を読み込み、段をまたぐ文章の流れをとらえてデジタル化し、昔の記事を今の紙面で使えるようにしました。次に、紙面の空きを見て文章と写真を自動で配置するモデルを作っています。
こうしてできたのが「Genscom Curator」です。定期的に発行する介護施設や慈善団体には、表計算のファイルなどから紙面を自動で組み上げます。企業の営業向けには、相手先のサイトの URL と紹介したいサービスを入れると、AI が相手の業種を読み取って売り込みの文章を書き、相手の会社の色や役職に合わせた4ページの新聞にします。
マクセラスの解釈
型を決め、中身だけを差し替える部分を仕組みに任せたことで、1件に数日かかる作り方が引き受けられる量の上限ではなくなった、と当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 011部ずつ手で組む
- 02複製して調整
- 03100版で数日
3工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 011部ずつ手で組む
- 02複製して調整
- 03100版で数日
AFTER
- 01素材やURLを渡す
- 02AIが文章を書く
- 03紙面を自動で組む
- 04印刷して届ける
- 05社員は新機能へ
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 古い紙面の読み取りとデジタル化
- 紙面の空きに合わせた文章と写真の配置
- 相手先の情報集めと売り込みの文章づくり
人に残したこと
- 新しい機能の開発
- 複製と貼り付けを離れ、新機能の開発や新しい市場の開拓に時間を回しています。
03After ─ 結果
社内で週340時間。顧客の制作は数日から10分に
自動化は Genscom 自身の仕事も変え、手作業のレイアウトが週340時間減りました。顧客の企業は、数日かけていた複数ページの印刷キャンペーンを10分で作れるようになっています。
読み手の課題に合わせた紙の新聞は、一般的なマーケティングのメールより最大20倍高い開封率を出しているとされています。
その先に起きたこと
売上3倍・人員も倍増
Google Cloud が公開した Genscom の報告値です。出典は、自動化で得た身軽さが売上3倍・人員倍増を後押ししたと書いていますが、時間削減との因果を数字では示していません。
数字の出どころ
Google Cloud が公開した Genscom の導入事例による数値です。週340時間は Genscom 社内のレイアウト作業の削減で、10分は顧客側が印刷キャンペーンを作る時間です。開封率の最大20倍は、一般的なデジタルマーケティングのメールとの比較です。
04自社への応用
自社の制作にも、同じ形はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、型を決めて中身だけを差し替える部分を仕組みに任せたことです。「1件ずつ手で作る」仕事は、受けられる量に上限を作ります。
- 印刷・制作
- バリエーションの数だけ人が版を作っている
- 販促
- 店舗ごとのチラシを1枚ずつ差し替えている
- 提案営業
- 顧客ごとに資料を作り直している
- EC
- 商品ごとに説明ページを手で組んでいる
まず何を調べるか
まず1か月、同じ型で中身だけ違うものを何件作り、1件に何時間かかったかを数えてください。手が回らず断った案件や、時期をずらしてもらった案件も書き出します。毎回デザインが変わるものは外し、型が決まっているものから仕組みにします。
あなたの会社なら、何時間か
1件あたりの制作時間と、月に作る件数で計算してください。
05まとめ
まとめと参考資料
- 読み手ごとに中身の違う新聞を手で組むと、100通りで数日かかり、大きな案件に追いつかなかった
- 紙の記事の読み取り、自動配置のモデルを経て、素材やURLから紙面を組み上げる仕組みにした
- 自社では、同じ型で中身だけ違う仕事の件数と、断った案件を1か月数えるところから始める
参考資料
- Genscom 導入事例Google Cloud・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

