この記事で分かること
- 研究者の発注は、なぜ1回に最大30分もかかっていたのか
- 仕組みを作る前に、ServiceNow のチームが何をしたのか
- 自社の専門職の事務で、まず何を測ればいいか
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
研究者の時間は、どこに流れていたのか
AstraZeneca は英国ケンブリッジに本社を置く製薬会社で、125か国以上で薬を届けています(従業員9万人規模)。2030年までに新薬20品目を出し、2万人超を採用する目標を掲げています。IT の合言葉は「1分1分が大事」です。
一方で、研究者や科学者は試験管のような実験用品を自分で選び、注文し、保管していました。新薬1つを世に出すまでに、試験管が何百万本も要ることがあります。その注文は、ノートへの手書きでした。
マクセラスの解釈
研究の時間を細かく削っていたのは、専門性の要らない注文の手間だったと当社は見ています。1回は短くても、研究所全体では大きな時間になります。
02How ─ 変えたこと
研究室を観察してから、注文を1か所に集めた
仕組みを作る前に、ServiceNow のチームは AstraZeneca の研究者に付いて回り、世界水準の研究室が何を必要としているかを細かく観察しました。
そのうえで、実験の機器や用品を選んで注文するまでを、社員ポータル「AskAZ」の上で一続きにしました。見慣れたメニューの使いやすい画面から、承認済みの仕入先の品を前もって選んだ一覧で注文でき、数秒で終わります。
機器や用品の注文は、すべてこの仕組みに載せました。いまは400以上の種類の依頼が年6万件超、同じ入口を通っています。注文の記録が1か所にたまるので、管理職は購買の傾向や在庫の状態をすぐに見られ、仕入れの判断や仕組みの改善に生かしています。
マクセラスの解釈
研究者に速い注文の手順を覚えさせたのではなく、研究者がしなくていい判断を前もって済ませた事例です。仕入先と品の候補を絞っておいたことで、注文が「選ぶだけ」になったと当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 01必要な品が出る
- 02品と仕入先を選ぶ
- 03ノートに手書き
- 04依頼する
4工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01必要な品が出る
- 02品と仕入先を選ぶ
- 03ノートに手書き
- 04依頼する
AFTER
- 01AskAZを開く
- 02承認済みの品から選ぶ
- 03数秒で注文
- 04管理職が傾向を見る
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 承認済みの仕入先の品を一覧で示し、注文を受け付ける
- 注文の記録をためて、購買の傾向と在庫を見える形にする
人に残したこと
- 研究者
- 一覧から必要な品を選んで注文します。
- 管理職
- 購買の傾向や在庫を見て、仕入れの判断をします。
03After ─ 結果
注文は数秒に。年間の推計は最大3万時間
ノートへの手書きで最大30分かかっていた注文は、数秒で終わるようになりました。出典は、研究者や科学者に毎日最大30分の時間を返すとも書いています。年6万件超の依頼で積み上がる時間は、最大3万時間と推計されています。
空いた時間の使い道について、出典は「手作業の事務に使われていた時間が、いまは新しい薬の探索に使われている」と書く一方、別の箇所では「患者に薬を届けることに使える時間」と表現しています。どちらも使い道を測った数字ではありません。
- 窓口を流れる依頼
- 年6万件超・400種類以上
数字の出どころ
ServiceNow が公開した AstraZeneca の導入事例による数値です。年間の削減時間は本文で「最大」かつ「推計」、ページ上部の数字では「3万時間以上」とされ、表記が揺れています。実験の機器・用品の注文に限った数値です。9万時間は、管理職の入社受け入れの時間の1割を自動化した場合の見込みです。
04自社への応用
自社の専門職にも、同じ事務の手間はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、専門職が毎回していた「何をどこから買うか」の判断を前もって済ませ、選ぶだけにしたことです。
- 研究・技術部門
- 技術者が備品の発注や経費の処理をしている
- 医療
- 有資格者が物品の請求や記録の転記をしている
- 設計
- 設計者が資料集めや見積の転記に時間を使っている
- 士業
- 有資格者が書類の整理や郵送の手配をしている
まず何を調べるか
まず2週間、専門職の数人に、資格や専門知識の要らない作業をした回数と時間を書き出してもらってください。同じ品や同じ手続きが繰り返し出てくるなら、候補を前もって絞った一覧を用意するだけで「選ぶだけ」にできます。同じ1時間でも、専門職の1時間は重みが違います。
マクセラスの解釈
削減時間より、誰の時間かを見る。
月10時間の削減でも、それが研究者の時間なら意味が変わります。私たちも効率化の相談では「その作業を誰がやっているか」を先に聞きます。
05まとめ
まとめと参考資料
- 研究者が実験用品の注文をノートに手書きし、1回に最大30分を使っていた
- 研究室を観察したうえで、承認済みの品から選ぶだけの注文を社員ポータルにまとめた
- 自社では、専門職が専門知識の要らない作業に使う回数と時間を2週間書き出す
参考資料
- AstraZeneca Customer StoryServiceNow・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

