この記事で分かること
- 照合の自動化が進んでも、何が手作業で残っていたのか
- Embat が生成AIで、どこまで自動にしたのか
- 自社で、自動化の「残り」をどう測ればいいか
改善の結果
週 最大10時間削減
入出金の照合と記帳の時間
出典が公表しているのは削減量だけで、作業時間の前後は示されていません。またこれは Embat 自身ではなく、同社のサービスを使う顧客企業における削減です。「最大」は上限であって平均ではありません。
財務チームの時間を最大75%削減
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
照合を自動にしても、何が手作業で残ったのか
Embat は2021年に設立されたスペインのフィンテック企業で、中堅・大企業の財務チーム向けに、資金や入出金を管理する仕組みを提供しています。顧客は銀行の残高を見て、入出金の記録を分析し、資金繰りの見通しを立てられます。
会計の処理と照合の提案は、すでに自動にできていました。ただ、多通貨の会計処理や、請求書に対する送金の処理のような複雑な作業は手作業のまま残り、銀行照合を担うチームの時間の大半を占めていました。複雑すぎて、一般的な機械学習では扱えなかったと説明されています。
マクセラスの解釈
自動化の率が高いほど、残った少数の例外に担当者の時間が集まります。9割が自動でも、残り1割に人が張り付けば楽にはならない、と当社は見ています。
02How ─ 変えたこと
残っていた複雑な処理に、生成AIを当てた
2023年の初めから、Embat は Google Cloud とともに、この複雑な処理を減らす方法を探しました。選んだのは Vertex AI の生成AI(大規模言語モデル)です。複雑な作業を、より単純な小さな作業に分けて扱える点が決め手でした。
生成AIで、照合に使うデータのおよそ3分の1(32.7%)を補えるようになり、一部の顧客では60%を超えました。関係する情報を多く取り出しつつ使うデータ量を大きく減らし、学習用の専用データを用意しなくても、より合った提案を出せるようになっています。応答率は91.5%です。
裏側では、利用者の介入が必要だったケース(5%)をすべて自動にし、自動の提案に残っていたわずかな誤り(2.2%)もなくしました。顧客から見ると、消し込みの案を出し、入出金の記録を毎日自動で作る仕組みです。
マクセラスの解釈
要は、9割方できていた自動化で止めず、人の介入が必要だった最後の数%まで手を付けたことだと当社は読んでいます。最後の数%を残したままでは、担当者の時間は減りません。
業務の流れの前後
- 01大半は自動で照合
- 02複雑なものが残る
- 03人が手で処理する
3工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01大半は自動で照合
- 02複雑なものが残る
- 03人が手で処理する
AFTER
- 01生成AIが複雑な処理
- 02消し込み案を提案
- 03毎日自動で記帳
- 04人は戦略的な仕事へ
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 照合(消し込み)の案の提案
- 入出金の記録を毎日自動で作る
- 利用者の介入が必要だったケースの処理
人に残したこと
- 事業の戦略的な部分
- 浮いた時間を、事業の戦略的な部分に充てられるとしています。
- 働き方の改善
- 仕事と生活のバランスをよくすることも挙げられています。
03After ─ 結果
顧客の財務チームは、時間を最大75%減らせる
仕組みを使う顧客は、週に最大10時間を減らし、会計の誤りも減らしています。単純なものから複雑なものまで手作業の繰り返しを自動にしたことで、財務チームの時間を最大75%減らせる仕組みになったと説明されています。
- 自動化の到達点
- 人の介入が必要だった5%を全自動化/残存誤り2.2%を解消
- 生成AIで補えたデータ
- 約3分の1(32.7%)、一部の顧客で60%超
数字の出どころ
Google Cloud が公開した Embat の導入事例による数値です。週最大10時間と最大75%は Embat 自身ではなく、仕組みを使う顧客企業の財務チームについての値で、「最大」は上限です。5%と2.2%は Embat の仕組みの裏側の数値です。売上や利益の数値は公表されていません。
04自社への応用
自社の照合作業にも、同じ形はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、自動化の率に満足せず、人の介入が必要だった最後の少数のケースまで手を付けたことです。「9割は自動」の業務ほど、残りの存在が見えなくなります。
- 経理
- 入出金の大半は自動で消し込めるが、例外が毎月一定数ある
- 受発注
- 定型は自動で流れるが、イレギュラーだけ人が処理している
- 在庫
- 自動計上できない品目だけ、手作業が残っている
- 請求
- 特殊な条件の取引先だけ、毎月手で作っている
まず何を調べるか
まず1か月、自動で処理しきれずに人が手を入れた件数と、1件あたりの時間を記録してください。率ではなく「例外に使った合計時間」で見ます。件数が少なくても1件が長ければ、そこが次の対象です。仕組みの提案の誤りを人が直している時間も、あわせて数えます。
マクセラスの解釈
残り1割に、担当者の時間の大半が入っている。
例外は判断が要るぶん、1件あたりの時間が長いからです。私たちも、すでに自動化されている業務の相談では「例外は月に何件あるか」を聞きます。
05まとめ
まとめと参考資料
- 照合の大半は自動でも、多通貨の処理などの複雑な作業が残り、担当チームの時間の大半を占めていた
- 生成AIで複雑な処理を扱えるようにし、人の介入が必要だった5%まで自動にした
- 自社では、自動で処理しきれなかった件数と1件あたりの時間を1か月記録するところから始める
参考資料
- Embat 導入事例Google Cloud・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

