この記事で分かること
- 工数の大きい調査が、なぜ企画の段階で消えていたのか
- 日経リサーチが AI を使う環境を、どんな順番で整えたか
- 自社で「やらない」と決めた仕事を、どう見直せばいいか
改善の結果
最大 50分の1に削減
企業ホームページ調査にかかるコスト
出典が示しているのは時間ではなくコストの比較(人件費とAIの処理コスト)です。対象は企業ホームページ調査という単一の業務に限られ、調査業務全体ではありません。「最大」「約」「程度」といった限定が付いた値です。
人手なら1,000社で80時間ほど
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
工数の大きさが「やらない」判断を生んでいた
日経リサーチは1970年設立の調査会社で、市場調査や世論調査、企業調査などを手がけています。日本経済新聞社のグループ企業です。
企業のホームページを調べる業務は、人が1社ずつ見ていくしかありませんでした。対象が多いほど工数と人件費は膨らみ、担当者によると、その大きさから「やらない」という判断になることもありました。
同社にはもともと、アンケートの実施からデータの収集・分析・レポート作成まで、調査業務のさまざまな工程をもっと効率化できるのではという問題意識がありました。
02How ─ 変えたこと
AI と人が一緒に働く環境を、先に整えた
2024年後半から、AI を使う環境づくりを本格的に始めました。AWS を選んだのは、技術に詳しい開発会社が多く学べる環境が整っていることと、グループで AWS を使っていたためです。構築の相手には、突発的な課題にも柔軟に対応する「ラボ型」の支援を提案した会社を選んでいます。AI の進化が速いため、適した技術を適した時期に取り入れられると考えたからです。
こうして、調査票づくり・企業情報の調査・セキュリティの確認・社内マニュアルのチャットボットといった複数の AI の作業手順を、同じ環境の上で動かしています。企業ホームページの調査もその1つで、ホームページを読み取る処理を AI に任せました。
社内では勉強会や情報共有の場が開かれ、それまで調査を担当していた人が、繰り返しの作業を自動化しようと AI と対話してプログラムを書き始めるといった変化も出ています。
マクセラスの解釈
この事例で起きたのは、時間が余ったことではありません。工数を理由に見送っていた調査に、着手できるようになったことです。1つの業務だけでなく、複数の業務を同じ環境で試せるようにしたことが、それを支えていると当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 011社ずつ人が見る
- 02工数が膨らむ
- 03やらない判断になる
3工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 011社ずつ人が見る
- 02工数が膨らむ
- 03やらない判断になる
AFTER
- 01AIが読み取る
- 02コストが下がる
- 03着手できるようになる
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 企業ホームページの読み取り
- 調査票づくりなど、複数の業務の作業手順
人に残したこと
- 調査の企画
- 工数を理由に見送っていた規模の調査に、着手できるようになったと担当者は話しています。
03After ─ 結果
コストは最大50分の1に。やれなかった調査が動き出した
企業ホームページの調査は、人手なら1社5〜10分かかり、1,000社で80時間ほどの人件費がかかります。AI なら約50分の1のコストで処理できるとされています。担当者は「今までやれなかったことができるようになった」と話しています。
AI の活用全体では、報告の中身も変わったとされています。調査結果を良好か不良かの判定で終えていた報告が、次の施策や課題の指摘といった戦略的な提案まで踏み込めるようになりました。売上への影響を示す数値は公表されていません。
- 人手の場合
- 1社5〜10分 / 1,000社で80時間ほど
- 対象
- 企業ホームページ調査という単一業務
数字の出どころ
AWS が公開した株式会社日経リサーチの導入事例による数値です。比較は人件費と AI の処理コストで、企業ホームページ調査に限られます。出典自身が「特定業務では」最大50分の1と明記しています。AI 側の所要時間は公表されていません。
04自社への応用
自社にも、工数で見送った仕事はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
「工数が合わないからやらない」と決めた仕事が、どの会社にもあります。この事例の要は、削った時間より、始められた仕事のほうにあります。
- 営業
- 見込み客の調査に手が回らず、既存顧客だけを回っている
- マーケティング
- 競合調査を年1回しかできていない
- 品質管理
- 全数検査ができず、抜き取りで済ませている
- 経営企画
- 分析したい切り口があるが、データを集める工数で断念している
まず何を調べるか
工数を理由に見送った企画を3つ挙げ、それぞれ「1件あたりの時間 × 本当は調べたい件数」を出してください。そのうえで、いくらなら実行できるかを考えます。削減した時間だけでなく、やらないと決めていた仕事が動き出すかどうかで効果を見てください。
あなたの会社なら、何時間か
1件あたりの調査時間と、本当は調べたい件数で計算してください。
マクセラスの解釈
やらないと決めた仕事は、時間の集計に出てきません。
工数が理由で見送った企画は、どの帳簿にも載りません。相談の最後に「本当はやりたいけど手が回らないこと」を聞くのは、その答えのほうが投資の判断材料になるからです。
05まとめ
まとめと参考資料
- 企業ホームページの調査は1社ずつ人が見るしかなく、工数の大きさから見送られることもあった
- AI と人が一緒に働く環境を先に整え、ホームページの読み取りなど複数の業務を AI に任せた
- 自社では、工数を理由に見送った企画を3つ挙げ、必要な件数と時間を出すところから始める
参考資料
- 株式会社日経リサーチ 導入事例AWS・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

