この記事で分かること
- 提案づくりの時間が、何に使われていたのか
- US Foods が仕組みをどう作り、どう広げたのか
- 自社で同じ手間を見つけるために、まず何を数えるか
改善前 → 改善後
4時間
提案1件の準備(最大)
20分
仕組みを入れたあとの提案1件
導入から6か月で、手作業が32,000時間以上減った
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
提案書づくりの時間は、どこに消えていたのか
US Foods は、米国で30万のレストランや外食事業者に食材を届ける食品卸です。営業担当者は、取引先のメニューづくりや厨房設備の維持まで相談に乗っています。
時間がかかっていたのは、見込み客ごとに提案を作り分ける作業です。営業担当者は、紙のメニュー、表計算のファイル、手書きのメモといった形式のばらばらな資料を、手作業で読み込んでいました。中には複数の言語で書かれた資料もありました。
マクセラスの解釈
出典は時間の内訳までは公表していません。ただ、相手ごとに形式も言語も違う資料を読み込む以上、提案の文章を書く前の「必要な情報を探して読み取る」作業に、時間の多くが取られていたと当社は見ています。
02How ─ 変えたこと
現場の資料を読み取る仕組みを、営業と一緒に作った
最初に、小さく試しました。US Foods は Amazon Bedrock を使い、6週間で試作品を作っています。その間に、生成 AI のモデルをいくつも試しています。
次に、営業担当者と一緒に作り込みました。少人数の試行グループをつくってミシガン湖周辺の地域から始め、ほかの地域やチームの使い方を見ながら対象を広げています。在籍30年ほどのベテランも、すぐに使いこなしたとされています。
こうしてできたのが「Automated Order Guide」です。スキャンした資料から文字・手書き・レイアウトを読み取る Amazon Textract と、提案する食材やサービスを選ぶ Anthropic の Claude(Amazon Bedrock 上)を組み合わせています。試行のあと本番に移し、3,300人の営業担当者が使う形にしました。
マクセラスの解釈
変えたのは提案の「書き方」ではなく、材料を集めて読む工程です。人が1件ずつ読んでいた資料を機械が読み取り、提案の候補まで並べます。出典は営業担当者の確認の手順までは書いていませんが、何を提案するかの最終判断は人に残る形だと当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 01紙のメニュー
- 02表計算のファイル
- 03手書きのメモ
- 04人が1件ずつ読む
- 05提案を作る
5工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01紙のメニュー
- 02表計算のファイル
- 03手書きのメモ
- 04人が1件ずつ読む
- 05提案を作る
AFTER
- 01スキャンした資料
- 02AIが読み取る
- 03提案の候補を出す
- 04営業が提案する
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- スキャンした資料の文字・手書き・レイアウトの読み取り
- 提案する食材・サービスの候補出し
人に残したこと
- お客様との関係づくり
- 空いた時間を、取引先との関係を深める仕事に使えると担当の副社長が語っています。
- 見込み客を顧客に
- 見込み客を実際の取引につなげる仕事にも時間を回せるとしています。
03After ─ 結果
提案1件の時間と、半年で戻った時間
本番に移したあと、提案1件の対応にかかる時間は3〜4時間から20分になりました。手作業の時間は、導入から6か月で32,000時間以上減ったと報告されています。
その先に起きたこと
ROI 10倍
AWS が公開した US Foods の報告値です。投資対効果が10倍になったと過去形で記載されています。ただし売上額・受注数・顧客数の内訳は公表されていません。
数字の出どころ
いずれも AWS が公開した US Foods の報告値で、第三者が測定した数字ではありません。冒頭の4時間は「最大」の値で、出典の別の箇所では「3〜4時間」とされています。空いた時間を関係づくりに使えるという話は担当者の言葉で、時間の使い道を測ったものではありません。時間の削減と投資対効果の因果も公表されていません。
数字についての問い
- 32,000時間は、提案づくりだけの時間ですか?
- 出典は「営業担当者の手作業の時間」として示しており、提案づくり以外の作業を含むかどうかは書かれていません。
04自社への応用
自社の提案づくりにも、同じ手間はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、提案を書く前に「相手ごとに形式の違う資料を読み込む」工程があったことです。日本の会社でも、次のような場面に同じ形があります。
- 卸売・商社
- 取引先ごとの見積作成。過去の取引条件を探すところで時間が消える
- 製造業
- 図面や仕様書を探して見積を作る。類似案件が見つからず一から計算する
- 建設・工事
- 現場写真と報告書をまとめる。どこに何があるか分からず探し回る
- 士業・コンサル
- 過去の提案書や書式を探す。誰のパソコンにあるか分からない
まず何を調べるか
1週間だけ、提案や見積を1件作るたびに「探す・読む」「確認する」「書く」の3つに分けて時間を記録してください。探す・読む時間が全体の3割を超えていれば、そこが最初の対象です。前の2つで半分を超えるなら、ひな形や文章の工夫だけでは大きくは変わりません。
あなたの会社なら、何時間か
自社の数字に置き換えると分かりやすくなります。まずは1週間だけ記録してみてください。
マクセラスの解釈
減らすべき手間は「書く」より前にある。
提案の時間を減らしたいとき、多くの会社はひな形や文章づくりから手を付けます。この事例が示しているのは、その手前の「相手の資料を集めて読む」工程の重さです。
05まとめ
まとめと参考資料
- US Foods の提案づくりで重かったのは、形式も言語もばらばらな相手の資料を読み込む工程だった
- 6週間の試作、地域を絞った試行、営業との作り込みを経て、3,300人が使う仕組みにした
- 自社では、提案1件の時間を「探す・読む」「確認する」「書く」に分けて数えるところから始める
参考資料
- US Foods 導入事例(AWS 公式)AWS公式・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

