この記事で分かること
- 共有の受信箱で、人は1通ごとに何をしていたのか
- Ignitis が自動にする業務をどう選び、どう育てたか
- 自社の問い合わせで、まず何を測ればいいか
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
共有の受信箱で、メール1通ごとに何をしていたのか
Ignitis Group は、リトアニアに本社を置く、バルト三国で最大の上場エネルギー企業です。リトアニア・ラトビア・エストニア・ポーランド・フィンランドで、電気の発電・供給・配電などを手がけています。
顧客からの問い合わせメールは、グループ全体で月25,000通を超えます。24時間いつでも共有の受信箱に届き、内容は部門の業務全般に及びます。担当者は1通ずつ目を通し、必要な情報を抜き出して、対応すべき人へ回していました。
夜のうちに届いた問い合わせは、朝に誰かが入力するまでシステムに載っていませんでした。
02How ─ 変えたこと
繰り返し・定型・大量の業務から選び、現場の声で育てた
始まりは2017年です。簡単な経理の処理で試したところ、自動化に向くのは「繰り返し・定型・大量」の業務だと分かりました。2018年にグループの共通サービス部門、翌年に配電会社 ESO に推進の拠点(CoE)を置き、設計と開発をすべて社内で行う体制にしています。
問い合わせメールの処理は、両方の拠点に共通する業務でした。ロボットがメールを確かめ、必要な情報を抜き出し、担当者へ振り分けます。夜に届いたものも、朝にはシステムに入っています。
使い始めた社員からは改善の案が出続け、メールの処理にも、送信者のアドレスから別のシステムで利用者のコードを探す手順を足しました。2つの拠点はコードやよいやり方を共有し、16のロボットのライセンスで260の自動化を動かしています。
マクセラスの解釈
効いているのは1通の速さより、人が見ていない時間帯にも処理が進むことだと当社は見ています。夜間の分が、翌朝の待ちにならないからです。
業務の流れの前後
- 01メールが届く
- 02受信箱に溜まる
- 03人が読んで抜き出す
- 04担当へ回す
- 05夜の分は翌朝
5工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01メールが届く
- 02受信箱に溜まる
- 03人が読んで抜き出す
- 04担当へ回す
- 05夜の分は翌朝
AFTER
- 01メールが届く
- 02ロボットが確認
- 03情報を抜き出す
- 04担当へ振り分け
- 05担当者が対応する
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- メールの確認と、必要な情報の抜き出し
- 担当者への振り分け
- 送信者のアドレスから利用者のコードを探す
人に残したこと
- 問い合わせへの対応
- 振り分けられた問い合わせに担当者が答え、空いた時間を価値の高い仕事に回します。
- 改善の提案
- 使っている社員が、処理を良くする案を出し続けています。
03After ─ 結果
1通は数秒に。この処理だけで月800時間超
手作業では1通に約2分かかっていた処理を、ロボットは数秒で終えます。社員には毎月800時間を超える時間が戻りました。ESO の RPA 責任者は、問い合わせがすぐ答えられる状態でシステムに入っていることが、顧客対応の向上にもつながっていると話しています。
グループ全体では、自動化で毎月16,000時間を超える時間が戻っています。約2.5年で自動化したプロセスは260ほどです。
数字の出どころ
UiPath が公開した Ignitis Group の導入事例による数値です。1通約2分と月800時間超はメール処理の自動化、月16,000時間超はグループ全体の自動化についての値です。260ほどのプロセスは約2.5年の累積です。出典に公開日の記載はありません。取材は2021年頃と当社は見ており、最新の数値とは限りません。
数字についての問い
- 月800時間は、どう計算した数字ですか?
- 出典は計算方法を書いていません。月25,000通超に1通約2分を掛けると800時間を超えるため、手作業の時間から見積もった値だと当社は見ています。
04自社への応用
自社の問い合わせ対応にも、同じ形はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、繰り返し・定型・大量のメール処理を自動にし、人が見ていない夜も処理が進む形にしたことです。共有の受信箱を人が見ている会社は、見ていない時間だけ止まっています。
- カスタマーサポート
- info@ 宛のメールを、担当が朝まとめて振り分けている
- 受発注
- 注文メールを人が読んで、システムに入れ直している
- 採用
- 応募メールの一次対応が、担当の出社待ちになる
- 現場を持つ会社
- 夜間の連絡が翌朝まで誰にも届かない
まず何を調べるか
まず1週間、共有の受信箱に届いたメールを内容で分け、届いた時刻と最初に人が見た時刻を記録してください。上位3種類で半分を超えるなら、そこだけを自動の対象にします。内容がばらばらなものは無理に対象にせず、人へ回す設計にします。
マクセラスの解釈
速くすることより、止まらないことのほうが効く。
1通の処理を1分に縮めても、夜間に止まる構造は変わりません。私たちも問い合わせの相談では、まず「届いてから最初に人が触るまで」を測ります。
05まとめ
まとめと参考資料
- 24時間届くメールを人が1通ずつ読んで振り分け、夜の分は翌朝まで止まっていた
- 繰り返し・定型・大量の業務を選んで自動にし、使う社員の改善案で処理を育てた
- 自社では、メールを内容で分け、届いてから人が見るまでの時間を1週間測る
参考資料
- Ignitis Group Customer StoryUiPath・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

