この記事で分かること
- 専門職の付随業務を、なぜ別のチームに渡せなかったのか
- 手順書を「納品物」にした工夫が、法人全体にどう広がったか
- 自社で業務を切り出すとき、まず何を書き出せばいいか
改善前 → 改善後
2,800時間
2023年度に生み出せた時間
6,000時間超
2025年度に生み出せた時間
担当する業務は約10種類から40種類超へ
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
付随業務を、なぜ別のチームに渡せなかったのか
フローレンスは訪問型の病児保育や障害児保育、看護、認可保育など10以上の事業を手がける認定NPO法人で、スタッフは約700名です。保育士や看護師が担う清掃や事務などの付随業務は、11名の障害者雇用チームが引き受ける仕組みを目指していました。
ただ、現場の業務は口頭で伝えられているものが多く、マニュアルは Word や Excel でばらばらに作られて、どれが最新かも分かりませんでした。文字ばかりで複雑なため、障害のあるスタッフが1人で読んで進められるものはほとんどなく、何を切り出せるかも見えていませんでした。
02How ─ 変えたこと
手順を「1つの動作に1枚の画像」で残し、納品物にした
手順書の道具は、誰が作っても分かりやすくなる仕組みで選びました。1つのステップに1つの動作、どのステップにも画像を付け、文字数にも上限があります。障害児保育園の清掃の手順書では本文をほぼなくし、写真の中に直接指示を書き込んでいます。新しく入った保育士も、説明を受けずにすぐ作業に入れるようになりました。
必要を感じていない部門も多かったため、チームが業務を引き受けたら、作業だけでなくその手順書を「納品物」として一緒に渡すことにしました。受け取った部門が使いやすさを実感し、次からは自分たちで手順書を作ってから依頼する動きが生まれています。
その後、全事業部門の責任者が集まる会議で、この手順書を法人全体の標準にする方針が決まり、「ここを検索すれば必ず見つかる」を共通のルールにしました。依頼は kintone で管理し、作業の記録から手順書へ直接移れるようにしています。
マクセラスの解釈
効いたのは専門職の作業を速くすることではなく、渡せる仕事の範囲を広げたことです。手順を「渡す側が書くもの」から「引き受けた側が書いて返すもの」に変えたことが、切り出しを止めていた壁を外したと当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 01口頭で伝える
- 02文字の手順書
- 031人で進めにくい
- 04渡せる業務が限られる
4工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01口頭で伝える
- 02文字の手順書
- 031人で進めにくい
- 04渡せる業務が限られる
AFTER
- 01業務を引き受ける
- 02画像で手順書化
- 03手順書を納品
- 04依頼元も手順書化
出典に書かれている役割の分け方
機械に任せたこと
- 依頼の管理と、作業の記録から手順書への案内(kintone 連携)
人に残したこと
- 付随業務の遂行
- 障害者雇用チームが、手順書に沿って事務・物流・システム管理などを担います。
- 本来の業務
- 保育士や看護師は、付随業務から離れて本来の業務に集中します。
03After ─ 結果
生み出せた時間と、引き受ける業務が増えた
チームが生み出した時間は2023年度の2,800時間から、2025年度には6,000時間超に増えました。引き受ける業務は約10種類から40種類超に広がり、すべてに手順書があります。立ち上げから8年、障害のあるスタッフの離職者は出ていません。
手順書の整った部門ほど残業が少ない傾向も見られるとされ、業務のミスの減少や経理処理の精度の向上も挙げられています。
- 登録マニュアル
- 2,400件以上
数字の出どころ
Teachme Biz が公開した認定NPO法人フローレンスの導入事例による数値です(2026年3月取材時点)。生まれた時間は「削減した時間」ではなく、チームが引き受けた業務の時間を「依頼元の部署に生み出せた時間」として成果指標に計上したものです。業務の種類の数(約10から40超)も同事例の記載です。
04自社への応用
自社の専門職にも、渡せる仕事はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
専門職の時間を空けたいとき、本人を速くする以外の方法があります。この事例の要は、渡す前に手順を「見て分かる形」にしたことです。
- 医療・介護
- 有資格者が記録や書類の作成に時間を取られている
- 設計・技術
- 技術者が見積の転記や資料づくりをしている
- 営業
- 営業が受注処理や請求の準備をしている
- 士業
- 有資格者が資料の整理や入力をしている
まず何を調べるか
専門職に1週間、「資格がなくてもできた仕事」をその都度メモしてもらってください。よく出てくる上位3つについて、手順を書き出せるかを確かめます。書けない仕事は渡せません。全部を書く必要はなく、引き受ける人を先に決めなくても、手順を書けた時点で外注も含めた選択肢が出ます。
あなたの会社なら、何時間か
専門職が本来の業務以外に使っている時間で計算してください。
マクセラスの解釈
渡せない仕事は、手順が書けていない仕事です。
「この仕事は自分にしかできない」の多くは、難しいのではなく説明されていないだけです。手順を引き受けた側が書いて返す形にすれば、渡す側の負担を増やさずに言葉にできます。
05まとめ
まとめと参考資料
- 付随業務の手順が口頭と文字ばかりの資料にあり、障害者雇用チームへ渡せる範囲が広がらなかった
- 画像中心の手順書を作り、引き受けた業務の手順書を依頼元へ「納品」する形で全体に広げた
- 自社では、専門職に「資格がなくてもできた仕事」を1週間書き出してもらうところから始める
参考資料
- 認定NPO法人フローレンス 導入事例Teachme Biz・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

