この記事で分かること
- 文字と写真の手順書で、何が伝わらなかったのか
- 半年で止まりかけた手順書づくりを、どう立て直したか
- 自社で、まずどの作業を1つ撮ればいいか
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。
この記事の目次
01Before ─ 課題
手順書はあったのに、なぜ毎回対面で教えていたのか
共和電業は、ひずみゲージやセンサーなどの計測機器を作る会社です(従業員500名以上1,000名未満)。約1.7万機種を少量ずつ作り、本社の設計と、山形・甲府の製造拠点が離れています。
現場では、設計書に出てこない組み立ての順序や熟練者のコツを書き足した手順書を Excel で作っていました。ただ、文字と静止画では、ネジを締める順番や接着剤の量といった手先の加減が伝わりません。伝わらなかった分は最終検査で見つかり、後戻りになっていました。
不足を補うため、作った人が必ず何度も対面で引き継ぐ決まりでした。年に数百件の仕様変更に改訂が追いつかず、改訂は個人のパソコンに留まり、書き方の細かさも人によってばらついていました。
02How ─ 変えたこと
動画で見せる手順書にし、作る時間を毎週取った
動きを残せる手順書の仕組み(Teachme Biz)を選びました。決め手は、細かな作業の加減を動画で伝えられることと、形式がそろっているので誰が作っても一定の質になることです。
ところが導入から半年ほどで、日々の業務に追われて手順書づくりが後回しになりました。そこで甲府と山形の拠点ごとに、入社5年目以降の若手を中心とした「動画委員会」をつくり、週1回2時間を手順書を作る時間として業務に組み込んでいます。
細かいルールはあえて作っていません。誰がいつどこを直したかは記録に残るからです。代わりに「言葉で説明しにくいところは動画で見せる」という考え方をそろえ、良い手順と悪い例を並べて載せています。甲府と山形の手順書は互いに見られるようにし、作り方のコツを教え合っています。
マクセラスの解釈
続いた理由は仕組みより、作る時間を「空いたら作る」ではなく業務の予定として置いたことにある、と当社は読んでいます。
業務の流れの前後
- 01Excelの手順書
- 02対面で何度も説明
- 03コツが伝わらない
- 04検査で後戻り
4工程。タブで変えたあとと見比べられます。
BEFORE
- 01Excelの手順書
- 02対面で何度も説明
- 03コツが伝わらない
- 04検査で後戻り
AFTER
- 01動画で手順を残す
- 02自分で見て確かめる
- 03説明は補足だけ
- 04毎週2時間で作る
03After ─ 結果
作業説明は3分の1に。浮いた時間で次の手順書を作る
動画で手の動きを補えるようになり、対面の説明に頼らなくても技術が伝わるようになりました。1つの作業説明は15分から5分と約3分の1になり、教える側と教わる側を合わせた教育時間は年間約800時間減っています。
浮いた時間で別の手順書を作る循環が回り始めたとされています。設計者が現場の実作業を把握でき、設計レビューの精度が上がったことや、ISO の監査で2年連続「Good Point(優良事例)」と評価されたことも挙げられています。
数字の出どころ
Teachme Biz が公開した株式会社共和電業の導入事例による数値です(2026年4月取材時点、運用開始から3年)。年間約800時間は教える側・教わる側の双方の教育時間です。同事例では金額換算で年間約1,000万円に相当するとも記載されていますが、これは換算値です。
04自社への応用
自社の作業の教え方にも、同じ形はないか
ここからは、出典の事実をもとにしたマクセラスの解釈と提案です。
この事例の要は、言葉で伝わらない手の加減を動画で残し、作る時間を業務の予定に入れたことです。「見せないと分からない」仕事は、教える側の時間を人数分だけ使います。
- 製造の現場
- 力加減や順番を、その都度やって見せている
- 飲食・調理
- 盛り付けや火加減が、口頭でしか伝わらない
- 介護・医療
- 介助の動きを、実地でしか教えられない
- 設備保守
- 点検の勘所がベテランに集中している
まず何を調べるか
まず、いちばんよく聞かれる作業を1つ選び、手元を撮ってみてください。言葉で説明しにくい部分だけを動画にし、残りは文字で足します。教えられる人が1人しかいない作業から始め、作る人と時間を週の予定に先に入れておくと止まりません。
あなたの会社なら、何時間か
教える側の時間で計算してください。教わる人数を人数欄に入れます。
マクセラスの解釈
手順書が続かないのは、作る時間がないから。
「空いた時間に作る」と決めた手順書は、まず作られません。私たちも、手順を残す仕組みを入れるときは「誰がいつ作るか」を先に決めます。
05まとめ
まとめと参考資料
- 文字と静止画の手順書では手先の加減が伝わらず、作った人が何度も対面で教えていた
- 動画で見せる手順書に変え、半年で止まりかけた作成を、若手の委員会と毎週の時間で立て直した
- 自社では、よく聞かれる作業を1つ選び、言葉で説明しにくい手元を撮るところから始める
参考資料
- 株式会社共和電業 導入事例Teachme Biz・2026-10-11 確認原文を見る ↗
掲載している数値は、各出典が公開している報告値です。当社が測定したものではありません。 図や表は、出典が公開している事実をもとに当社が独自に作成しており、出典の図版は使用していません。
本記事は、各社が公開している導入事例・公開情報をもとに、マクセラスが独自の視点で業務改善の考え方を分析したものです。マクセラスが導入を担当した事例ではありません。

