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図面が探せない理由は“命名ルール”にある?管理の落とし穴7選
検索に強い図面管理は、まずファイル名の設計から。属人化・表記ゆれ・バージョン分散…よくある落とし穴を実例で解剖し、今日から使える命名ルールと移行手順、KPI、FAQ、用語集までまとめました。
なぜ命名ルールが“最初のDX”なのか
図面は「探す→見る→使う→共有する」の起点です。最初に名前付けを誤ると、検索が効かず、誤配布や手戻りが増えます。命名ルールは最低コストで最大効果の改善策であり、AIOCR・検索タグ・アクセス権管理など上位の仕組みの前提になります。
ポイント:命名は「人と機械の両方が理解できる」記号設計。曖昧語を排し、左から粗い→細いの順に。
落とし穴1:人ごとに違う自己流命名
悪い例NG
本体_最新版.dwg
assy-new-v5.pdf
assy-new-v5.pdf
「最新版」は主観。「assy」は社外・将来の自分に通じない。
良い例OK
PRJ001-120A-MAIN-REV-B-20250115.pdf
プロジェクト・図番・部位・改訂・日付が一意で前方一致検索に強い。
対策:共通語彙を決め、入社時研修で10分の命名演習を実施。
落とし穴2:略語まみれ&情報過多
| パターン | 問題 | 代替 |
|---|---|---|
| prc_fin_ok_v3.pdf | 略語の意味が不明 | PROC-FIN-APPROVED-REV-C-20250110.pdf |
| 顧客名_担当_工場_メモ_最終版.pdf | 要素過多で誤入力増 | CUS-KOMORI-120A-REV-A-20241205.pdf |
対策:略語は社内辞書に登録。ファイル名は検索キー最小限、補足はメタデータへ。
落とし穴3:改訂(REV)と作業版(ver)の混在
NG混在
120A_rev2_ver5_final.pdf
OK分離
120A-REV-B-20250108.pdf
(ドラフトはDRAFT属性で管理)
(ドラフトはDRAFT属性で管理)
対策:ファイル名は正式版のみ。作業途中はワークフローの状態管理で区別。
落とし穴4:日付・桁・全角半角のゆれ
- 日付は YYYYMMDD 固定(例:20250115)
- 図番・枝番はゼロ埋め(例:0120A)
- 全角記号禁止、ハイフン – とアンダー _ の役割を固定
落とし穴5:要素順の不統一
部門ごとに順序が違うと並び替え・前方一致検索が死にます。左から“粗い→細い”で統一。
【推奨順】PROJECT / DRAWING-NO / PART / REV / YYYYMMDD / AUTHOR
落とし穴6:顧客・機種・部位名の辞書不在
同じ顧客を「KOMORI」「コモリ」「KMR」と3通りで表記、など辞書不在は検索の分断を生みます。
辞書フィールド案を開く
顧客(正式名/略称)
機種/型式(正規化)
部位(MAIN/SUB/UNITなど)
製番/図番(桁・ゼロ埋め)
担当者コード(2〜4桁)
対策:1枚のGoogleスプレッドシートで始めてOK。運用で出た例外を都度追加。
落とし穴7:旧版アーカイブが機能していない
最新版と旧版が同居すると誤配布の温床に。/archive/に自動退避して現用には常に最新のみ。
アーカイブ運用ルール例
- APPROVED発行時に旧版へ自動タグ付け → /archive/移送
- /archive/は書込禁止(履歴の保全)
- 現用の最新版にのみ「公開リンク」を許可
今日から使える「命名ルール」雛形+正規表現
雛形(構造)
PRJ###-DRW###[-PART] – REV-[A…Z] – YYYYMMDD [-AUTHOR]
例
PRJ001-120A-MAIN-REV-B-20250115-TK.pdf
PRJ001-120A-REV-C-20250302.pdf
PRJ001-120A-REV-C-20250302.pdf
正規表現(フロントでのバリデーションに)
^PRJ[0-9]{3}-[A-Z0-9]{3,}(?:-[A-Z0-9]+)?-REV-[A-Z]-[0-9]{8}(?:-[A-Z]{2,4})?\.(?:pdf|dwg|dxf)$
TIP 命名は8割解で始めて、月次で辞書に例外を吸収していくのが現実解。
既存ファイルを壊さない移行ロードマップ(30→90日)
1
準備(0–2週):辞書作成 — 略語/顧客/部位/型式を1枚に整理。現状の命名例を収集し、表記ゆれを洗い出し。
2
棚卸(1–3週):データ現況の可視化 — フォルダ一覧・重複検出・最終更新日をCSV化。対象範囲を区切る。
3
サンドボックス(2–4週):小ロットで一括リネーム — 失敗許容の検証環境で規則をテスト。
4
本番適用(4–6週):期間限定の凍結 — リネーム期間中は新規投入を一時停止、ドラフトは別領域へ。
5
教育&監査(6–12週):週次レビュー — 逸脱例を共有→辞書更新。現場からの例外申請フローを用意。
CSVカラム例(コピペ用)
path,old_name,new_name,project,drawing_no,part,rev,date,author,notes
効果測定KPI(テンプレ)
−70%
図面検索時間(中央値)
−50%
誤配布・手戻り件数
+30%
一次検索のヒット率
日次トラッキング項目(現場で付けやすい)
- 検索開始→発見までの時間(秒)
- 検索キーワード回数(1回/2回以上)
- 誤版配布の検知件数(週次)
ケーススタディ:中小製造A社の90日
紙PDFと自己流命名で混乱していたA社は、辞書整備→小ロット移行→週次監査の順で改善。90日後、検索時間は平均3分→45秒に短縮、誤配布は月4件→1件未満に。
前後比較の命名例
BeforeNG
顧客A_本体_最終v6.pdf
AfterOK
PRJ143-120A-MAIN-REV-B-20250301-KS.pdf
FAQ(よくある質問)
Q. 命名ルールは厳しすぎると現場が回らない?
A. 最初は「8割適用」で十分。例外は月次で辞書に吸収し、現場の負担を下げます。
Q. 古いCADや図番体系が混在している…
A. 「旧→新」の対応表を用意し、旧版は/archive/に退避。検索入口は新体系に一本化します。
Q. 途中版(ドラフト)はどう扱う?
A. ファイル名に入れず、状態属性(DRAFT/APPROVED)と別領域で管理します。
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| REV | 設計改訂。A→B→C…のアルファベットで進行。 |
| ver | 作業版・ローカル編集版。正式ファイル名に含めない。 |
| 辞書 | 顧客・機種・部位などの正規化リスト。 |
| アーカイブ | 旧版保管領域。書込禁止で履歴を守る。 |
チェックリスト(コピーして使える)
| 項目 | 基準 | 確認 |
|---|---|---|
| 要素順 | PROJECT → 図番 → 部位 → REV → 日付 | □OK / □NG |
| 日付 | YYYYMMDDで統一 | □OK / □NG |
| 改訂 | REV-A/B…のみ。verは使わない | □OK / □NG |
| 表記 | 半角英数・記号のみ、全角禁止 | □OK / □NG |
| 辞書 | 略語・部位名の社内辞書あり | □OK / □NG |
| 旧版 | /archive/へ自動退避 | □OK / □NG |
